潰瘍性大腸炎・クローン病

クローン病と潰瘍性大腸炎は、難病指定されています

炎症性腸疾患の代表的なものにクローン病と潰瘍性大腸炎があります。この2つの疾患は厚生労働省によって難病指定されていいます。指定医療機関の難病指定医によって診断を受けて一定以上の重症がある方、軽症でも一定以上の高額な医療を受ける必要がある方は、医療費助成制度の助成対象になります。申請には、難病指定医に臨床個人調査票へ記入してもらうなどが必要です。各市区町村保健所などに申請して承認されると受給者証が交付されます。なお、承認された後で申請日から受給者証交付までの期間に支払った医療費に関しても還付が受けられます。

クローン病とは

炎症性腸疾患で、はっきりとした原因がわかっていないことから厚生労働省から難病指定を受けています。若い世代の発症が多く、男女では男性の発症が女性の2倍ほどあるとされていて、発症数が近年増加傾向にあります。症状などがよく似た疾患に潰瘍性大腸炎がありますが、食事の制限など治療法も異なりますので専門医による診断を受けてください。根治できる治療法はありませんが、適切な治療を続けることで状態をコントロールできれば発症前とあまり変わらない生活をすることも可能です。

クローン病の症状

腹痛、下痢、血便、発熱、貧血、肛門の痛みや膿などが主な症状で、腹痛は右下腹に起こることが多くなっています。肛門の病変はクローン病の特徴であり、腹痛や下痢に加えて肛門にも症状があることで受診し、クローン病と診断されることがよくあります。症状が活性化する活動期(再燃期)と治まる寛解期を繰り返しますが、症状のない時期にも適切な治療を続けることが重要です。
クローン病の炎症は、口から肛門までの消化管すべてに生じる可能性があり、慢性的な炎症を繰り返して消化管から皮膚や他の臓器に通じるトンネル状の細い穴(瘻管)ができたり、消化管が狭窄して腸閉塞を起こすこともあります。炎症を起こす場所では大腸と小腸が多く、炎症のある場所によって小腸型・小腸大腸型・大腸型に分けられます。炎症を越している場所によって現れる症状や治療法も変わってきます。定期的な検査を受けて適切な治療を続けることが重要です。

クローン病の原因

はっきりとした原因はまだ不明です。現在も研究が進んでいて、遺伝的要因、環境要因、腸内細菌叢などが関与して異常な免疫応答が起こることで消化管に炎症を起こしているとされています。食事の内容、喫煙、衛生環境なども発症に影響すると考えられています。特定の食べ物が症状を起こすきっかけになることもよくあります。

クローン病の検査

大腸カメラ大腸カメラ検査で特徴的な病変の有無や範囲を確認し、血液検査で貧血や炎症の程度を確かめます。小腸の病変を調べるための小腸X線検査、食道・胃・十二指腸の病変を確認するための胃カメラ検査を行うこともあります。必要と判断された場合には、腹部造影CT検査や超音波検査など、全身を詳細に検査して病変の程度や範囲を確かめます。
こうした検査は治療をはじめてからも定期的に行う必要があります。コントロールがうまくいって症状のない寛解期が続いている場合も炎症などが進行している場合がありますので定期的な検査は不可欠です。消化管の炎症が続くとがんの発症リスクが上昇するため、早期発見のためにも必ず検査を受けるようにしてください。

大腸カメラについて

クローン病の治療

栄養療法や薬物療法を中心に治療しますが、状態によっては手術が必要になることもあります。根治が見込める治療法はありませんが、炎症を抑える治療を行っていくことで症状のない寛解期を長く保つこともできます。寛解期にも適切な治療を続けることが重要です。
栄養療法は、腸管への負担や刺激を軽減するために行うもので、食事制限と低脂肪の栄養剤を服用します。状態が悪い場合には点滴などによって栄養を補給することもあります。
薬物療法では、5-アミノサリチルサン製剤、ステロイド、免疫調整剤、生物学的製剤などによって腸管の炎症を改善させます。
合併症として、腸閉塞、狭窄や出血、肛門周囲膿瘍、痔ろうなどが生じている場合には手術や切開などの処置が必要になります。


潰瘍性大腸炎とは

血便や粘液便、下痢などが慢性的に生じる炎症性腸疾患です。日本では急激に患者数が増加していて、男女の発症率に差がなく、20代の発症が多い傾向があります。若い世代に多いという傾向はありますが、小児や高齢者の発症も珍しくありません。根治できる治療法はありませんが適切な治療を続けて症状のない状態を保ち、発症前とあまり変わらない生活をすることも可能です。
はっきりとした原因がわかっていないことから厚生労働省から難病指定を受けているなど、クローン病と似ていますが、治療法が異なるためできるだけ早く受診して適切な治療を受けることが重要です。

潰瘍性大腸炎の症状

血便、粘液便、下痢、残便感、腹痛、発熱などが主な症状です。こうした症状が現れる活動期と、症状が治まる寛解期を繰り返し、進行すると体重減少や発熱、頻脈などを起こすこともあります。クローン病と異なり腸管以外に炎症を起こすことはなく、狭窄や肛門病変なども生じることはありません。炎症は直腸周辺から上の方に拡大する傾向があり、炎症の広がりによって直腸炎型、左側大腸炎型、全大腸炎型、区域性大腸炎などに分けられます。炎症が長期間続くと大腸がんの発症リスクが高くなってしまうため、定期的な大腸カメラ検査が必要です。

潰瘍性大腸炎の病因

遺伝や環境などの要因が複雑に関与して異常な免疫応答を起こして炎症が生じているとされています。研究が進んで発症要因に関係していると考えられる遺伝子多型も発見されていますが、はっきりとした原因はまだわかっていません。また、日本の患者数増加に食の欧米化や衛生環境の整備が関与しているという指摘もされています。

潰瘍性大腸炎の検査

大腸カメラ血液検査で炎症の状態や貧血の有無を確認し、特有の病変の有無や炎症範囲を確かめるために大腸カメラ検査を行います。潰瘍性大腸炎では症状の強さと炎症の程度や範囲が乖離していることも珍しくないため、症状のない寛解期が続いている間も炎症が広がっている可能性があります。そのため、定期的な検査は不可欠です。また、長期に渡って炎症が続くと大腸がんの発症リスクが上昇するため、定期的な大腸カメラ検査は早期発見と治療にも役立ちます。治療効果を正確に把握するためにも、定期的な血液検査と大腸カメラ検査を受けましょう。

大腸カメラについて

潰瘍性大腸炎の治療

5-アミノサリチル酸製剤、ステロイド、免疫調整剤、生物学的製剤などを組み合わせて炎症を鎮め、寛解期を長く保てるようにコントロールしていきます。こうした内科的治療で十分な効果が得られず、重い症状が続く場合には大腸全摘の外科手術が必要になることもあります。

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